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◉オークスの牝馬は血で走る◉
KというモデルさんとKと呼ばれる看護師さんが店にやってきた。
モデルのKが席に着くなり、店の中を見回して、
「へ～、焙煎機まで入れている占いの館なんて珍しいわね」と宣う。
「お姉ちゃん、占い喫茶だから、凝った珈琲を煎るのよ、きっと」
と、こちらもピントはあまり合っていないようだ。
そこへ、弟子の占い師Kが登場。
「あら珍しいわね。二人いっしょで、どっちもKさんよネ」
ふたりは顔を見合わせて微笑んでいる。
看護師の方のKが、「先生も入れて3Kだわね」
と言うのに合わせて、3人で爆笑している。
占い師のKがモデルのKの手のひらを見ながら、
「まだ、当分結婚も彼氏もできそうにないわね」と宣告。
そこで、マスターが麻生副総理の物まねをしながら、
「同じ日に生を受けても運命は違う、血は運だね、以上」と娘二人をからかう。
「マスター、オークスで買う馬、決めたんですか？」
と弟子の占い師K。
看護師のKが、
「お父さま、珈琲も競走馬もみんな血統重視ですものね」
と言う。
すかさず、モデルのKが、
「パパは血統重視じゃないわよ。もし、そうならママと結婚していないわ。名牝は一日にしてならずよ」
「ソダネ！ムーンクエイクと、ショウナンパンドラ、ブライトエンブレム、クイーンズリング、ハピネスダンサーのお祭りとみた、マスターは見た。今年はKのつく、クロノジェネシスやカレンブーケドール、コントラチェックはどんなもんか」
妹の看護師Kは血統には興味があるらしく、
「リアルスチール、ラングレー、プロディガルサンの妹の方が秀逸な感じがするわ」
そこで、血統外の占い師Kは、
「ムーンのシゲルピンクダイヤはダイワメジャーにハイチャパラルで、距離とコース適性があるから、いいんじゃない」
と占いより、ある意味血統派そのもの。
長女のモデルのKは、
「私は、よくわからないけどお父さまがお祭りというのだから、エールヴォアを買おうと思うの。単勝で」
「パパは結局、何買うの？」
「ソダネ！ちょっとユルい感じだけど、馬券度外視でシェーングランツで勝負だね。ピンクダイヤは、ピンクダイヤだけだったら買ったんだけど、シゲルがね、引っかかるんダヨネ～」
ということで、火曜の夕方はなかなか暮れそうで暮れない、株式市場のようにどんよりと言い訳がきかない時間が過ぎてゆくのでありました。
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