水曜劇場＋スパーキングレディカップ

　いつものように７月の眩しいほどの光を受けて、ここ占いの館やすらぎ館では、今日も占いを求めてやって来る若い女性客で溢れている。
　久々の行列でてんやわんやだ。
　マスターも珈琲豆を焙煎しながら、お客様の整理をはじめている。
　今日の占い師といえば、アチ子さまとミチル嬢だが、これが意外と人気になっているらしい。
　いまどきの若い女性が列を作っているのは、やはりアチ子さまのほうだ。
　「アチ子姫さま、お会いできて光栄です。ぜひ。わたしの彼氏運、見ていただきたいんです」
　さすが、元アイドルのアチ子さま、
　「男性運ざ～ますね、オマエ～、ボーっと生きてんじゃねーよ。そんな、尽くし方で男にモテると思ってんのかよ～。もっと、身も心も捧げ尽くすんだよ。それしか、生きる道はなし。はい次のひと」
　やれやれ、何とも乱暴なアチ子さまのご宣託ではあるけれど、何が幸いか、これが人気になっているようだ。
　助手のＫが、
「やれやれ、マスター、夏競馬やるんですか？このアチっ、アチっ、アチいのに！」
マスターは我が道、たんたんと、
「いいね！いいね！さすが、アチ子さま。プロキオンステークスは、マテラスカイの逃げに期待しようかな」
休憩中のアチ子姫が、
「わたし、外しませんから、アルクトス、ウインムート、サクセスエナジー、サンライズノヴァ、オールドベイリーで決まります」
「また、テレビで言うんですか？」
とＫ。
「もう、テレビ出てないし～。ただの占い師でございますことよ、九州の大雨、心配ですわね」
ちょっと暇めなミチル嬢も顔を突っ込む。
「キングズガード、忘れてない？わたしは、断然ミッキーワイルドです。ヴァンジェンスも怪しいわ。ダノングッドにプロトコル、アディラートもね。小倉だったら中止間違いなしだね、マスター」
と熱い視線を送る。
Ｋが遮るように、
「なんか、本命なしって感じかな、で、マスターの見解は？」
「そだねー、武豊と言いたいところだけど、ヴェンジェンスを本命にして、アルクトス、ウインムートから人気ないところへ行こうかな」
なんか元気のないＫが、
「わたしは、ドンフォルテス単複行こうかな」
逃げと追い込みというより、馬場適性のある種牡馬と重実績を評価したいところかも。
占いの館も夏競馬も慌ただしい、お盆競馬へと足を速めるのでした。
（つづく）